火事にあったコンクリートの診断【後編】
火害状況と補修例 1. 【火害状況】 無被害または仕上げ材が残存 【補修例】 コンクリートの補修は不要 内装等のコンクリート以外の仕上げ部分の取り替え 2. 【火害状況】 コンクリートにすす、油煙等の付着 コンクリート表面の受熱温度が500℃ 床や梁の剥落はほどんどない 【補修例】 コンクリートの補修は不要 コンクリート表面の洗浄 3. 【火害状況】 コンクリート表面のみに微細なひび割れ 鉄筋位置での受熱温度が500℃以下 爆裂はかぶりのみ 【補修例】 表面からかぶり部分のコンクリートの打ち直し(いわゆる断面修復) 4. 【火害状況】 コンクリート表面に数mm幅のひび割れ 鉄筋が部分的に露出 鉄筋とコンクリートとの付着が低下 【補修例】 構造部材としての補強が必要 5. 【火害状況】 構造部材としての損傷が大きい。コンクリートの爆裂範囲が広範囲 鉄筋が至るところで露出 部材としてのたわみ(変形)が大きい 【補修例】 構造部材の交換あるいは新たな部材の挿入 火害でコンクリートのひび割れが生じるメカニズム コンクリートが受熱すると、ひび割れが発生します。その理由は、セメント硬化体と骨材で膨張収縮性が異なるからです! 具体的には、600℃程度までの間は、セメント硬化体( セメントペースト)は収縮し、骨材は膨張する特性があります。 その結果、片方は縮み、片方は膨張しようとするため、組織が緩み、ひび割れに繋がるというわけです。 爆裂するメカニズム 爆裂は、コンクリート内部の毛細血管内の水が蒸気になり、蒸気圧が生じることで起きます! 高強度コンクリートは、コンクリート強度が大きいため、コンクリート内の水分が移動できず、爆裂が生じます。 また、コンクリートの含水率が大きい場合も、水が多いため、たくさん蒸気が発生して爆裂が生じます。 そのほか、温度上昇が速い場合にも生じます。 今回は、火害状況と補修例のほか、ひび割れや爆裂のメカニズムについてお話ししました。 前回は、火害にあったコンクリートの強度低下の目安、調査に必要な変色状況について記載してますので、合わせて勉強してください。 さいごに コンクリート診断士試験の問題集や参考書で何があるか気になる方は、こちらも参考にしてください。 難しい試験ではありますが、試験勉強がんばってください!応援してます!