火事にあったコンクリートは弱い!?火害について解説【前編】
はじめに
コンクリートが火災にあって劣化することを「火害」と言います。
火害を理解するためには、コンクリートの性質をまず知る必要があります。
なので、前提知識を説明したあとに、火害の詳細知識を話していきますね。
ちなみにコンクリート診断士試験でも、火害は解きやすい問題になります!しっかり覚えておきましょう!
それでは、火害について以下のテーマに分けて話していきますね。
- 加熱されたコンクリートの性質
- コンクリートの受熱温度と変色状況
- 火害状況と補修
- 爆裂のメカニズム
加熱されたコンクリートの性質
コンクリートはセメントと骨材と水を混ぜて作られます。
化学の話でいうと、これらの材料を混ぜると水和反応が起きて、コンクリート中に水酸化カルシウムが生じます。
さて、コンクリートが火事などで加熱されるとどうなるのか?
500〜580℃の加熱で水酸化カルシウムは熱分解します。
水酸化カルシウムはコンクリートをアルカリ性に保つためのもの。その水酸化カルシウムが分解されてしまうということは、結果的に中性化に繋がります。
そのため、この温度以上の加熱を受けた鉄筋コンクリート構造物は、火災前の強度には戻らないことになります。
さらに825℃の加熱で炭酸カルシウムが熱分解します。先ほどと同様の考え方で中性化に繋がります。
また、コンクリートの中には水分が含まれています。火災により急激に熱せられると、コンクリート中の水分が蒸発し、水蒸気となります。
水が水蒸気になると体積が増えるため(むかし、理科で習ったやつです)、コンクリートの内部で「爆裂」という現象がおきます。
※詳しくは後編で。
ちなみに鉄筋などの鋼材は600℃以上で強度が低下します。
つまり、鉄筋コンクリート構造物が600℃以上の加熱を受けると、鉄筋とコンクリートの両方ともが強度低下していることになります!
では、実際の場面で火害になった構造物が何℃で加熱されたのかをどうすれば知ることができるのでしょうか?
温度計を置いておくわけにもいかないですし。
そこで、コンクリートが熱によって変色する性質を活用します。
コンクリートの受熱温度と変色状況
表面のすす等が付着→300℃未満
ピンク色 →300〜600℃
灰白色 →600〜950℃
淡黄色 →950〜1200℃
溶融している →1200℃以上
少し思い出してください。
鉄筋コンクリート構造物は600℃以上の加熱で鉄筋もコンクリートも強度低下でしたね。
そのため、火害になったコンクリートが灰白色になっていたら、構造物としての強度は低下していることになります。
では、低下した構造物をどう補修するのか?
火害状況と補修については次回、詳しく話していきますね!
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