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コンクリート診断士試験の受験者数から見る試験攻略

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  コンクリート診断士試験の受験者数と合格率 年度 受験申込者 受験者 合格者 合格率(%) 2022 4,601 3,474 557 16.0% 2021 4,935 3,611 576 16.0% 2020 4,822 2,973 484 16.3% 2019 5,356 4,243 663 15.6% 2018 5,865 4,496 664 14.8% 2017 6,372 4,922 738 15.0% 2016 6,854 5,422 804 14.8% 2015 6,852 5,462 806 14.8% 2014 6,315 4,990 790 15.8% 2013 6,548 5,241 694 13.2% 平均 15.2% ※日本コンクリート工学会HP掲載情報より グラフ化すると、わずかながら合格率が上昇傾向にありますが、依然として難関資格であることは変わらないですね! 試験対策の方針 受験者数が3000〜5000人規模の記述問題の解答用紙を採点するとなると、複数の採点者を確保したとしても、とても大変な作業になると考えられます。 そう考えると、記述問題の解答で優先されるのは、日本語の正しい表記よりも、事前に定められたキーワードが入っているか否かが採点対象になると想像できます。 (もちろん、あまりにも突飛な作文はマイナスにはなると思いますが…) それを前提に試験勉強するとなると、各テーマの知識を全体的に網羅的に把握しておくことが重要になります。 ただし、すべてのテーマに対して、全体的かつ網羅的な把握は非常に時間がかかる取り組み方とも言えます。 よって、頻出される重点テーマから抑えていくことが効率的な試験対策となります。 個人的な推測に基づく話が含まれますが、理屈は通っているかと考えられます。 皆さんの勉強の参考になれば幸いです!

コンクリート変状の種類は何があるの?一覧で見てみよう!

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コンクリートの変状とは コンクリートの変状には様々なものがあります。 変状の種類を知ることが、変状を理解して見極める第一歩です! そして、試験合格の近道になります! さっそく見ていきましょう! 変状が生じる原因は大きく分けて3つに分けられます。 初期欠陥 による変状 経年劣化 による変状 構造的な原因 による変状 以下、変状名をクリックすると詳細ページに移ります! 基本的な知識になるので、確実に押さえましょう! 初期欠陥による変状 豆板(ジャンカ) コールドジョイント 内部欠陥 砂すじ 表面気泡 経年劣化による変状 ひび割れ 、浮き、剥落 体積変化、クリープ 錆汁 エフロレッセンス 汚れ(変色) すり減り 構造的な原因による変状 たわみ 変形 疲労 振動 以上が主な変状の種類です。 次に劣化の種類について話していきますね! 劣化の種類とメカニズム 構造物の「劣化による変状」という症状に、主にひび割れや浮き、剥落、錆汁などがあります。 そして、これらを引き起こす「劣化のメカニズム」があります。 人間で言うと、「咳や鼻水」という症状に対して、「風邪やインフルエンザ」という病気と考えると、分かりやすいと思います。 その「劣化」を引き起こすメカニズムについては複数の種類があります。こちらのページでまとめてますので、合わせて勉強してくださいね! コンクリート診断士試験の勉強に役立てば幸いです。是非、ほかの記事も読んでみてください! 勉強にあたっては、過去問を解きながら、試験に出そうな大事なキーワードを抜き出し、コンクリート診断士講習のテキストを見ながら、知識を体系的にノートにまとめていくのがオススメです! こちらの問題集が非常に使いやすかったです。 ※アフィリエイト広告リンクを利用しています。 ⇒ Amazon ⇒ 楽天 コンクリート診断士試験の問題集で他に何があるか気になる方は、こちらも参考にしてください。

火事にあったコンクリートは弱い!?火害について解説【前編】

  はじめに コンクリートが火災にあって劣化することを「火害」と言います。 火害を理解するためには、コンクリートの性質をまず知る必要があります。 なので、前提知識を説明したあとに、火害の詳細知識を話していきますね。 ちなみにコンクリート診断士試験でも、火害は解きやすい問題になります!しっかり覚えておきましょう! それでは、火害について以下のテーマに分けて話していきますね。 加熱されたコンクリートの性質 コンクリートの受熱温度と変色状況 火害状況と補修 爆裂のメカニズム 加熱されたコンクリートの性質 コンクリートはセメントと骨材と水を混ぜて作られます。 化学の話でいうと、これらの材料を混ぜると水和反応が起きて、コンクリート中に水酸化カルシウムが生じます。 さて、コンクリートが火事などで加熱されるとどうなるのか? 500 〜 580℃ の加熱で水酸化カルシウムは熱分解します。 水酸化カルシウムはコンクリートをアルカリ性に保つためのもの。その水酸化カルシウムが分解されてしまうということは、結果的に中性化に繋がります。 そのため、この温度以上の加熱を受けた鉄筋コンクリート構造物は、火災前の強度には戻らないことになります。 さらに 825℃ の加熱で炭酸カルシウムが熱分解します。先ほどと同様の考え方で中性化に繋がります。 また、コンクリートの中には水分が含まれています。火災により急激に熱せられると、コンクリート中の水分が蒸発し、水蒸気となります。 水が水蒸気になると体積が増えるため(むかし、理科で習ったやつです)、コンクリートの内部で「爆裂」という現象がおきます。 ※詳しくは後編で。 ちなみに鉄筋などの鋼材は 600℃ 以上で強度が低下します。 つまり、鉄筋コンクリート構造物が 600℃ 以上の加熱を受けると、鉄筋とコンクリートの両方ともが強度低下していることになります! では、実際の場面で火害になった構造物が何 ℃ で加熱されたのかをどうすれば知ることができるのでしょうか? 温度計を置いておくわけにもいかないですし。 そこで、コンクリートが熱によって変色する性質を活用します。 コンクリートの受熱温度と変色状況 表面のすす等が付着 →300℃ 未満 ピンク色      →300 〜 600℃ 灰白色       →600 〜 950℃ 淡黄色       →950 〜 120

コンクリート診断士試験のメリット・効用

  資格試験の効用 若いうちに、早いうちに資格試験の勉強をすることを強く推奨したい! 特に若手技術者の方。 そうでなくても新たに従事する方。 または今の仕事で技術力不足に悩んだり困ったりしている方。 きっと仕事に楽しく、自信をもって臨めるようになると思います! 改めて思うこと 経験上の話ですが、コンクリート診断士試験に合格してからは、以前より自信を持って構造物の検査や診断をできるようになりました。 でも、昔から自信をもって仕事をしていたかと言うと、当然そうでない時期もありました。 私の感覚ですが、これまでの実務経験で見聞きした知識や経験はバラバラなパーツの様なもの。 知識や経験を必要とする場面で、脳の引き出しからパーツを探し出すのに苦労したり、時間がかかったりしてたイメージです。 そして引き出したものが自信を持って正しいと言うのを少なからず恐れたりも … これまでパーツだった知識や経験が、資格試験の勉強を通して得た理論や原則により、体系的な知識と経験になる感覚があります。 そして、一度体系化されたものは、わずかなことでは揺るがない。 これが自信に繋がった理由だと感じるし、 資格試験の効用だと思ってます。 改めて思うのは、若いうちに、早いうちに 資格試験を通して理論や原則を学ぶことを推奨します。 もちろん、資格試験に合格したことも自信の一つになります。 いずれにせよ、以前よりも視界が開けて仕事が楽しくなる、と改めて思う私がいます。 試験の難易度に関わらず、資格試験の勉強は大変だと思います。 そんな時、こんな効用が得られるかも!と思い出して、もう一踏ん張りする力になれば幸いです。

100点は狙わない勉強方法【合格のための試験対策ポイント】コンクリート診断士試験

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合格率15%の難関試験 コンクリート診断士試験の合格率は 約15%(2013年度〜2022年度の10年間) ※日本コンクリート工学会HPより 一般的に「難関」と呼ばれる試験です。 コンクリート診断士講習会を受講した方やテキストを読んだ方はご存知かと思いますが、非常にボリュームのある内容となります。 もちろん、全ての内容を理解することは大切だと思います。 しかし、時間をかけて、お金を払って受験するのですから、受験者としては試験をパスできる勉強をしたい!と考えるとも思います。 これから私の勉強方法を紹介させて頂きます。皆さんのお力になれば幸いです。 ※ アフィリエイト広告を利用しています。 どう勉強する?どうやって勉強した? 試験勉強のポイントは3つです! 試験問題の傾向を知る 特に重要な知識を覚える 模擬テストで練習する そのために必要なグッズは2つ。 試験問題集 コンクリート診断士講習会テキスト 2019年度からコンクリート診断士講習会はインターネット上での学習に。時代ですね(^ ^) それでは詳しく解説していきますね! 1.1なぜ試験問題の傾向を知る必要があるのか? コンクリート診断士試験に限らず、すべての試験に言えることですが、以下が理由です! 試験にパスすることが目的である よって、全問正解を狙いに行くのはコスパが悪い(この理論は別の機会に説明しますね) つまり、頻出テーマや傾向を重点的に取り組み、100点を目指すのでなく、合格ラインを狙いに行く! 1.2試験問題の傾向を把握するためには? ①まずは過去問を見る!私の場合は5年分見ました。 ポイントは、解くのではなく、一通り見渡すこと。 なぜなら、頻出テーマを抽出するためです。 例えば「劣化のメカニズムが頻繁に出るなあ」「ひび割れの話も結構多いなあ」といった感じで、頻出テーマを抽出します! ②過去問の問題と解答を見比べながら、もう一度見る! ポイントは、頻出テーマの中身を 具体的に把握 するため。 例えば「劣化のメカニズムのうち、ASRや中性化のテーマが多いなあ」「ひび割れについては、ひび割れパターンから変状原因を当てる問題が多いなあ」といった感じです。 ③試験勉強するテーマをメモする! ここまでで頻出テーマの把握ができました。把握した

合格者の解答例!塩害・凍害の記述式問題

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合格者の解答例!記述式論文の模範解答 コンクリート診断士試験に合格した際に、事前に準備していた解答例をポイントを抑えて解説します。 記述式論文の問題に出るテーマは何が出るかはわかりません。 どのようなテーマが出ても解答できるよう、主要なテーマの解答例は確実に準備しておきましょう! また、コンクリート診断士の過去問を解く際の参考にもした頂ければ幸いです。 ※ アフィリエイト広告を利用しています。 ①変状からの推察 スケーリングの発生 → 凍害の可能性 積雪寒冷地帯 → 凍結防止剤による塩害の可能性 1980 年以前の建造 → コンクリートの塩分総量の規制前 鉄筋の腐食が発生 → 上記より凍害や塩害の可能性が高いが、中性化の可能性も残る ⇒塩害と凍害の複合劣化の可能性が高いが、中性化の可能性も考えられる。 ②詳細な調査 塩化物イオンの調査(塩化銀沈澱法・硝酸銀滴定法など) → 原因特定および今後の鉄筋の腐食を判断 自然電位法 → 鉄筋の腐食状況の把握 中性化深さ測定(コア試験 or ドリル法) → 原因把握のため ※ フェノールフタレインの 1% 濃度溶液 鉄筋かぶりの測定 ⇒鉄筋かぶりが十分であれば、塩害と凍害の複合劣化と判断できる ③対策 中性化抑制対策と凍結防止剤対策の2点で考える (1)中性化抑制対策 塩化物イオン Cl- が多い場合、脱塩工法にてコンクリートのアルカリ性を回復する (2)凍結防止剤対策 排水処理を適切に行うまたは排水設備を設けることで、凍結防止剤の滞留を防ぎ、コンクリートの塩害を防ぐ。 さいごに 試験準備として作成した解答時のポイントを紹介しました。 試験勉強の参考になれば幸いです。 ちなみに試験問題集は、以下の観点で購入することをお薦めします。 試験の傾向を把握するためにも最新版であること。 5年分くらいの過去問と解答がある。 さらには各問題の解説も記載があること。 上記の要件を満たす問題集のうち、こちらの問題集が非常に使いやすかったです。  ⇒ Amazon ⇒ 楽天 コンクリート診断士試験の問題集で他に何があるか気になる方は、こちらも参考にしてください。 コンクリート診断士試験の書籍は受験者数が限られるのか、入荷待ちやメーカー取り寄せになりやすいです。 必要な勉強グッズは早めに準備しましょう! 短い試験時間で解答を書くには、劣化の種類ごと

【アルカリシリカ反応】劣化のメカニズム・評価・予測

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アルカリシリカ反応とは コンクリート中のアルカリ成分( Na2O 、 K2O )と骨材中の反応成分(反応性骨材) → 反応生成物 反応生成物 … アルカリシリカゲル(白色のゲル) 反応生成物 + 水 → 吸水 → 膨張 → ひび割れ アルカリシリカ反応による外観 無筋の場合、かぶり大の場合 拘束が小さいので、網目状または亀甲状のひび割れが生じる 有筋の場合、かぶり普通の場合 拘束が大きいので、鉄筋方向に規則性のあるひび割れが生じる ※ RC や PC (プレストレスコンクリート)の場合が多い 【補足】 鉄筋に直行してひび割れようとするということは、コンクリートは鉄筋方向に引張力がかかるということ ただ、鉄筋方向の引張力は鉄筋が受け持てる なので、「鉄筋に直行する方向でなく、鉄筋方向にひび割れが入るのだな」と考えると覚えやすい! ひび割れ等から白色のゲル状物質の析出 【補足①】 反応の進展は水や温度に影響される。つまり、風雨や日照の影響を受ける 例えば、温度が高いと反応は進みやすい 膨張率は反応性骨材の量に比例するわけではない 【補足②】アルカリシリカ反応の歴史 1980 年代にアルカリシリカ反応の抑制のために規定化がされた 主な規定はアルカリ総量の基準や安全と認められる骨材の使用など 【補足③】アルカリシリカ反応に似た変状 アルカリ炭酸塩反応 日本ではほとんど確認されない アルカリシリカ反応の確認方法 コアの断面の骨材周辺に反応リムやゲル、ひび割れがないか見る 確証を得る場合は偏光顕微鏡による骨材鑑定を行い、有害な鉱物の有無を調査する アルカリシリカ反応の判定法 以下の 4 つの方法がある アルカリシリカ反応の判定法① コアから採取した骨材に対して、アルカリシリカ反応性試験法(化学法)により、アルカリ濃度の減少量と溶解シリカ量を測定し、判定する アルカリシリカ反応性試験法(化学法) …JIS A 1145 判定の結果、「無害でない」場合、アルカリシリカ反応抑制対策 or モルタルバー法による試験を行う アルカリシリカ反応の判定方法② コアを用いて促進膨張試験を行い、残存膨張率の結果にて判定する 促進膨張試験は 3 種類ある JCI-DD2 法 デンマーク法 カナダ法 【補足】 コアを用いて圧縮強度試験や静弾性係数試験を行い、圧縮強度の低下より静弾性係数の低下の方が大